『チーム・バチスタの栄光』

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 (初掲:2008年12月24日)著者:海堂尊 宝島社文庫 2007/11/10

 順番おかしい(苦笑)。
 いや、『螺鈿迷宮』は読み終わったばっかりだったから。新鮮なうちに。
 そういや、『螺鈿迷宮』で、姫宮のビジュアルイメージがどーしても南海キャンディーズのしずちゃんになってしまったんですが。どーしてくれる。
 
 脱線。
 これはねー。やっぱり、主人公・田口公平の一人称で進んでいくところがうまいなーと思いました。いわゆる、ホームズシリーズのワトスン博士と同じ役回りなわけですが。そういや、ワトスン博士も医者だ。探偵役の白鳥が出てきて、田口が行った調査についてレクチャー? するくだりは、何となく「美しき自転車乗り」とか「バスカヴィル家の犬」とか連想してみたり。
 何せ、一人称なもんだから、個人の主観でものを見ることになるんですよね、どーしても。そうしたら、当然、読者は田口と同じ視点でものを見ることになり、どいつもこいつも怪しいよ! となるわけです。
 作者が現役勤務医ということで、医学用語とかばんばん出てきて、理解しようと思うと大変なのですが、そんなもん理解できなくても、十分にエンターテイメントとして成立していると思います。


  また、主人公の設定が、いわゆる、世間的にはエリートとみなされる、大学病院の勤務医でありながら、サボり魔で主流から大きく外れているあたり、読者に親近感を持たせやすい、つかみがいいですねー。
 それに反して、白鳥がまさに「傍若無人」そのもの、な感じですから、後半のスピード感はものすごいです。もーとにかく、ばっさばっさ切りまくる様は、ちょっと反感を覚えながらも、あそこまで言えたら、できたらいいなーって羨ましく思えなくもないです。

 しかし! しかしなのだよ!!

 何で、初対面の田口がゴ○ブリ……と思った、小太りのおっさん(=白鳥)が、映像化されると阿部寛(映画)や仲村トオル(テレビ)になるのだ!! むしろ、阿部寛は田口役をやるべきだろう。阿部寛の演技力を生かした、と、いやーそうなるのかもしれないけど、田口を女性(=竹内結子)にする理由が分かりません。何で? 映画オリジナルで、白鳥と恋愛フラグでも立てようっての? (きもい想像してしまった……)それとも、血を見るのが好きじゃないって一点だけとって、女性にしたの?
 『ガリレオ』でもそうだったけど、本来は存在しない女性を無理やり配置するってどーなのよ。 
 まあ、映画もドラマも見てないんで、大口叩いちゃだめなのは分かってる。しかし、この内容を2時間の映画にするのは大いに無理があるでしょう。ディテールを省きまくるしかないし、しかし、ディテールを省くと、今度は何とも薄味大味なものが出来上がってしまう。
 んで、TVドラマ。これもまたキャストに不満あり! です。鳴海涼の顔立ちは「冷たく整いすぎている」はずなのに、何で宮川大輔なんだよー!! 氷室が城田優って、逆だ! 逆!!
 さらに、TVドラマで何が不満だったかというと、犯人は原作と違います! と最初から言われていた点……。白鳥、何か東城大学病院に入院してるし。
 そこまで、原作と違う展開にこだわるのなら、オリジナルでやれと。
 TVドラマは、「分かりやすさ」が命題だったのか、何か安っぽいEDになっちゃったみたいですね。復讐ですかそーですか。原作の方が、何ともいえない不気味さが、逆に昨今の世相にマッチしてたような気がするんですが。

 で、今度は『ナイチンゲールの沈黙』ぶっ飛ばして、『ジェネラル・ルージュの凱旋』映画化ですか。『ナイチンゲールの沈黙』は、ある意味、映像向きなところもあるけど、肝心の殺人シーンがグロいといったらグロいからですかね? でも、人間関係とかは、『チーム・バチスタの栄光』→『ナイチンゲールの沈黙』→『ジェネラル・ルージュの凱旋』って続いてるのに。そして、速水が堺雅人ー? とまた首をひねるわけです。やれやれ。

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このページは、荒野龍輝が2009年12月29日 15:20に書いたブログ記事です。

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